●Aさんのプロフィール●
年齢:34歳
職業:某化粧品メーカー研究職
家族構成:夫(37歳)、長女(3歳)、長男(1歳)
家族歴:特になし
身体既往歴:特になし
病前性格:社交的で友人が多く、小さい頃から何事にも頑張るタイプで成績優秀。責任感が強く、引き受けた仕事は相手の期待以上の成果が出せるようにと最後まで一生懸命取り組む。
出産後、張り切って復職したが
Aさんは、3年前に長女を、昨年長男を出産したのち、2人の子供を保育園にあずけて、会社に復帰しました。
もともと頑張りやのAさんは、職場に復帰した当初は子育てと仕事を両立させようと張り切っていたのですが、復職して3ヶ月が経過した頃からなぜか疲れが取れず、仕事に対する意欲もわかなくなりました。家に帰っても家事をするのが億劫で、いらいらして夫にあたってしまいます。
やがて仕事も家事も手につかなくなったAさんは、会社の産業医に相談することにしました。
産業医はAさんの話を聞いた後、「うつの状態による症状かもしれませんね」といいました。Aさんはからだの病気ではないかと思っていたので驚きましたが、心も体と同じように疲れると症状が生じることがあるという産業医の話しを聞いて、精神化の専門医を受診してみることにしました。
仕事も家事も完璧にの落とし穴
精神科ではより詳しく最近の状況について話を聞かれました。
Aさんは「頑張りたいのに頑張れない状態なんです。仕事も育児もしっかりやると自分で決めて、仕事をつづけることにしたのだから、どちらも人から文句を言われないくらい完璧にやろうと思っていたのに・・・。会社の仕事が十分出来ないと、せっかく復職させてくれた上司に申し訳ないし、同僚も迷惑だと思うに違いないんです。でも、家事や育児の手を抜くわけには行きません。最初はそれなりに自分でも出来ると思っていたのに、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか・・・」と、自分の気持ちを率直に述べました。
それを聴いた医師は「今はつらい様子ですが、誰かに相談しましたか?」とさらにたずねます。Aさんは「そういわれてみれば・・・」と、誰にも相談していないことに思い当たりました。
夫には、最近疲れるという話はしたけれど、まだ復職したばかりだから頑張ってみようと思って、そのままになってる。上司には、今は残業を減らしてもらっている立場なのに、これ以上仕事を軽くして欲しいなどとは癒えない。私が家事や仕事をきちんとすれば、みんなに迷惑をかけずに済むのにと思うと、なかなか相談できない・・・。
このように、自分ひとりで頑張っていたことに築いたのです。
Aさんは、精神化の医師から、「仕事も家事もパーフェクトにやろうとしてストレスを溜め込んだため、うつ状態になっているのです。そういう状態になっている女性は多いのですよ」と、説明を受けました。自分だけがつらい思いをしているのではなく、一般的に起こりうる状態であることを知り、少し安心できました。
医師からは、「今のAさんは抑うつ状態になっており、エネルギーが低下し、何をするにもやる気が出ず、楽しいことも楽しめない状態にあります。あまり頑張らず、まずはご家族や職場の方に相談してみては・・・」とのアドバイスもありました。また、うつ状態がより速く改善するためにと、抗うつ薬を処方されました。
家へ帰ったAさんは、さっそく夫に話をしました。自分が今まで仕事と家庭を両立しようと頑張ってきたこと。でも、どうしても全てには手が行き届かず、それがプレッシャーになってよくうつ状態になっていること。家事と育児の一部を分担して欲しいこと。それらを伝えたのです。
夫は、Aさんがそのような状態に追い込まれていることを知らなかったのでビックリしたようでしたが、以後子供を朝、保育園へ送っていくことと、子供の入浴を手伝ってくれることになりました。また、職場でも上司と話をし、一部の仕事の期限を延ばしてもらうことが出来ました。そしてAさんは、少し余裕が出来た時間を浸かって、一人でゆっくり入浴することにしました。
こうして、自分から周囲の人に相談して環境を整えたことと、抗うつ薬の効果もあって、精神科を受診してから1ヶ月たった頃にはずいぶん調子がよくなりました。
Aさんは、半年は病院に通って、薬を飲みながら体調を整えようと考えています。そして「今振り返ると、私はずいぶん肩肘を張って頑張っていたんだな、思います」と語っています。
