現代社会はストレスに満ちています。職場では急速に進むIT化についていけずに不安を抱え、地域社会では人間関係が希薄になって孤独に悩み(或いは人間関係が疎ましくなって悩み)、家庭では子育てに不安を感じる人たちが増えています。 こうしたストレスが引き金になって、うつ病にかかる人も少なくありません。現代は、誰もがうつ病にかかる可能性がある時代だといえるでしょう。特に女性は、男性に比べてうつ病にかかりやすい傾向があります。 しかし、うつ病は早期に発見して適切な治療をすれば治ります。そのためにも、うつ病とはどのような病気なのか、どのような人がうつ病にかかりやすいのかを知っておくことが大切です。
うつ病はよく"心の風邪"にたとえられます。 うつ病を経験した人たちは、「そんな生易しいものじゃない」と反論していいのですが、それはこの比喩が、病気の程度のことではなく病気の頻度-つまり「誰でもかかる可能性がある」という意味をこめたものだからです。100人のうち4~10人が一生の間に一度はうつ病にかかることを知っていただければ、その頻度が決して少なくないことが判ると思います。「4~10人とは、ずいぶん幅があるじゃないか」と思われるかたもいるかもしれません。これは、調査方法の違いからくる幅でもありますが、うつ病にかかったひとが必ずしも病院で受診するとは限らないので、正確な数字を知るのが難しいせいでもあります。 うつ病にかかっているのに病院を訪れない人たちのなかには、病気だとは思わずに、「甘えている」「怠けている」などと自分を責め「皆に迷惑をかけている」と悩み、自分の世界に引きこもってしまうひともいます。また、心の病気に対する誤解から、「心の病気は弱い人間がかかるものだから、知られると恥ずかしい」「心の病気は治らない」「心の病気とからだの病気は違う」などと考えて、誰にも相談できずにいるひともいます。 うつ病の患者さんたちは、うつ病という病気そのものの苦しみだけでなく、病気を抱えたことによる葛藤や孤独を体験しています。それは必然的に、うつ病にかかったひとたちを取り巻く周囲のひとたちも同様に悩み、苦しんでいることを容易に想像させます。そう考えると、もはやうつ病は周囲も他人事ではなく、皆が理解し、かかわっていく病気であると言えるのです。
ある方が、うつ病のことを"こころの寿命"と表現されていました。たくさんの意味を持った表現だと思いますが、「からだの寿命が尽きてしまったひとのことを、頑張りが足りないと言えるのか?医者にかかれば寿命は尽きないのか?」という意味もこめられているそうです。

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