1988年、アメリカの自動車の燃料効率は1973年の2倍以上になり、日本やヨーロッパの平均とほぼ同等になった。アメリカの二酸化炭素排出の3分の1が車によることを考えれば、これはなおさら意義深いことだった。しかし、アメリカでは1980年代後半からアメリカ車の燃料効率への取り組みは、まったく強化されなくなった。それどころか新たなスポーツ用多目的車(SUV)の流行が、動きを急速に逆行させてきた。
この車は1ガロン(約3.785リットル)のガソリンでわずか10マイル(約16キロ)しか走らない。そして現
在アメリカの新車の3台に1台はこのSUVだ。輸送にかかる年間の石油消費は、その殆どが車によるものだが、アメリカ人一人あたりの平均は現在19バレル(約3,020リットル)で、これに対し日本人ではわずか6バレル(約950リットル)だ。しかし、燃料効率は最終的に3倍にすることが可能だ。カーボンファイバーをもとにした軽量だが丈夫な宇宙時代の合成素材や、重いスチールのフレームの必要性を最小限にする航空宇宙技術を集結した設計概念、そしてハイブリッドや燃料電池推進装置を使用するのだ。これはトヨタのプリウスやホンダのインサイトをみれば分かるように根拠のない夢ではない。アメリカのエネルギー学のエキスパート、エモリー・ロビンス氏は大部分に高度なポリマー合成素材を使用し、重量が従来の車のわずか3分の1という「ハイパーカー」を作りだした。こうした効率化やハイブリット・電気式の動力源のおかげで、将来、1ガロンあたり300キロメーターもの走行が可能になるだろう。これは汚染を95パーセント減らし、大部分がリサイクル可能である。ハイパーカーは最終的に現在OPECが扱っているのと同量の石油を節約できるのだ。
アメリカのエネルギーのエキスパート、ロバート・エアーズの言葉を引用すると、「自動車産業に対して求められている原則は、冷蔵庫から家庭暖房システムに至るその他の多くの製品にも適用することができる。新しい建物の暖房の需要は、たとえ寒冷な気候であっても、技術的には90パーセントの削減が可能だ。よりよい断熱材、窓(完全に密閉された3重のガラス)、デザインを組み合わせ、冬に太陽熱を利用し夏はこれを取り除けるようにすればよい。概して、アメリカの生活および商業に使用されるエネルギーは、今世紀半ばまでに50パーセントかそれ以上の削減が可能で、同時に75パーセントの二酸化炭素排出の削減になる」。
クリーンで再生可能な多くの資源からエネルギーを得られるという素晴らしい見通しにもかかわらず、ブッシュ大統領はアメリカの研究開発費を、部門によっては90パーセントも削減した。幸いにも、ビジネス界が代わって指導者的な役割を果たしている。1997年の京都会議の直前、アメリカ企業のトップたちは、カーボンクラブとも呼ばれる、地球気候連合(Global Climate Coalition)を立ち上げた。これは化石燃料に関わる多くの世界的有力企業や貿易協会の団体だった。彼らは京都議定書やそれが象徴するあらゆることに反対した。しかし、1997年以降、多くのビッグネームが過去の態度を改め、未来に目を向け始めた。デュポン、BP、シェル・インターナショナル、フォード、ダイムラークライスラー、テキサコ、GMなど、多くの大企業が連合を去っていった。2002年の始め、支持者の不足により連合は終りを迎えた。
-------------------------------------------------------------------------------------------------
燃料電池推進装置 fuel-cell propulsion units
燃料電池は、水素に空気中の酸素を化学反応させて、電気と水をつくりだす発電システム。原
理的には大気汚染物質や二酸化炭素の排出量がゼロなこと、また、小型でも高い発電効率を可
能にするなどがその特徴である。


コメントする